投資信託とETFの違いを分かりやすく教えてほしい。投資初心者はどっちを買えばいいの?
こんなお悩みを解決していきます。
- 投資信託、ETFとはそもそも何なのか
- 投資信託とETFの違い
- 投資信託がおすすめな人、ETFがおすすめな人
- 初心者はどちらに投資するのがいいのか
「投資信託」と「ETF」はどちらも投資信託ですが、その違いについて、きちんと理解できていますでしょうか?
大きな違いは”上場しているか否か”ですが、コスト面や購入方法にも違いがあり、どちらが向いているかは人によって異なります。
投資信託とETFの違いを理解しておけば、資産設計するうえで、投資の選択肢がどんどん広がります。
ぜひ、この記事で両方の理解を深めて、自分なりの投資スタイルを確立していきましょう。
投資信託とは?
投資信託は「ファンド」ともいい、株式や債券など様々な金融商品を組み合わせた商品のことです。
金融商品をどう組み合わせるかは、運用のプロが考え、投資家(私たち)はその運用から得られる利益を受け取ります。
投資信託は、主にアクティブファンドとインデックスファンドに分類できます。
違いは以下の通りです。
- アクティブファンド→市場平均を上回る運用を目標とする投資信託
- インデックスファンド→市場平均に連動した運用を目標とする投資信託
アクティブファンドは市場平均を上回ろうとする運用を行うため、銘柄選定などの工数がかかってしまいます。
対してインデックスファンドは、日経平均やTOPIXなどのインデックス(指数)に連動するよう運用されるため、銘柄の組み合わせは機械的に決まります。
そのためインデックスファンドは、アクティブファンドよりも運用コストが安く済むんです。
アクティブよりもインデックスの方が勝率が高い?
インデックスファンドよりも、リターンが大きそうなアクティブファンドに投資したいなぁ…
その気持ちも分かるけど、実はインデックスファンドの方が勝率が高いんだよ!
アクティブファンドは市場平均を上回ろうとする運用を行いますが、そのぶんリスクも高くなります。
その中でも、インデックスファンドを上回る成績を残せるアクティブファンドは、なんと3〜4割ほどしかないそうです。
一見リターンも少なそうで魅力が分かりにくいインデックスファンドですが、プロ投資家からの評価も高く、近年はインデックスファンド市場への資金流入量が増加しています。
投資の神と呼ばれるウォーレンバフェットも、自分の死後は資産の9割をインデックスファンドに投資するよう奥さんに伝えてるんだって!
インデックスファンドはバフェットお墨付きってことなんだね…!
違いの詳細については、アクティブファンドとインデックスファンドの違いは?を参考にしてみてください。
ETFとは?
ETF(イーティーエフ)とは、「Exchange Traded Fund」の略で、上場投資信託のことを言います。
その名の通り、株式市場に上場している投資信託のことです。
投資信託と同様、ETFにもアクティブとインデックスの両方がありますが、大半のETFはインデックスファンドで、アクティブファンドは少数にとどまっています。
そのため、インデックスETFのことを総称してETFと括られることもあります。
では、投資信託とETFの違いをみていきましょう。
投資信託とETFの違い
先にも解説しましたが、ETFはほとんどがインデックスETFのため、この章から、
- インデックスファンド→”投資信託”
- インデックスETF→”ETF”
として解説します。ご了承ください。(アクティブの場合でも、それほど違いはありません)
投資信託とETFの違いを表にまとめると、以下のようになります。
投資信託 | ETF | |
取引市場 | 非上場 | 上場 |
売買手数料 | インデックスファンドは無料のものが多い | 一部ネット証券で国内ETFは無料 |
信託報酬 | 低い | もっと低い |
購入場所 | 証券会社、銀行、保険会社 | 証券会社 |
購入価格 | 基準価額が1日1回決まる | リアルタイムで動く |
注文方法 | 基準価額で注文(1日1回) | 指値・成行注文(1日何度でも) |
定時定額の投資 | 可能 | 原則不可(一部ネット証券で可) |
分配金の自動再投資 | 可能 | 不可 |
違いを大まかに分類すると、以下3つに分けられます。
- ①上場しているかどうか
- ②コスト面の違い
- ③取引形態の違い
違い①上場しているかどうか
株式市場に上場しているファンドを”投資信託”、上場していないファンドを”ETF”と呼びます。
- 投資信託→上場していない
- ETF→上場している
ETFは、非上場の投資信託とは違い、株式市場に上場しているため、株式に近い性質を持っています。
株式に近いってどういうこと?
投資信託とETF、株式の違いを比較してみましょう。
株式 | 投資信託 | ETF | |
販売会社 | 証券会社 | 証券会社、銀行、保険会社 | 証券会社 |
価格の動き | リアルタイムで変動 | 基準価額が1日1回決まる | リアルタイムで変動 |
コスト | 売買手数料 | 売買手数料 信託報酬 |
売買手数料 信託報酬 |
1日に1度しか価格が決まらない投資信託に対し、株式やETFは、価格が常に変動しています。
これにより、取引の方法も変わってきます。(後で詳しく解説します)
違い②コスト面の違い
コストは主に、「購入時手数料」「信託報酬」「売却手数料」があります。(海外ETFの場合は為替手数料も発生)
投資信託とETFの、コスト面の違いは以下の通りです。
投資信託 | ETF | |
購入手数料 | インデックスファンドは無料のものが多い | 一部ネット証券で国内ETFは無料 |
信託報酬 | 最近はかなり低い | 投資信託より比較的低い |
売却手数料 | インデックスファンドは無料のものが多い | 一部ネット証券で国内ETFは無料 |
売買手数料について
インデックスファンド(投資信託)の場合、購入時と売却時の手数料は無料のものが多いです。
対してETFの場合、(一部ネット証券で国内ETFは無料ですが)原則として売り買いのたびに手数料が発生します。そのため、頻繁な売買には向きません。
信託報酬について
信託報酬とは、いわば運用管理費のようなもので、投資信託やETFを保有している間、常に発生するコストです。
インデックスファンド(投資信託)の信託報酬は、かなり低く設定されていますが、ETFの信託報酬はそれよりも低い水準で設定されています。
まとめると、こんな感じです。
- 投資信託…売買手数料は無料、運用コストは安い
- ETF…売買のたびに手数料が発生、運用コストは投資信託よりも安い
売買する時のコストを取るか、保有している時のコストを取るか…だね!
どう使い分けたらいいかは、また後で解説します!
違い③取引形態の違い
投資信託とETFでは、取引形態も変わってくるため、運用の利便性も大きく異なります。
違いを表にまとめると、以下のようになります。
投資信託 | ETF | |
購入場所 | 証券会社、銀行、保険会社 | 証券会社 |
購入価格 | 基準価額が1日1回決まる | リアルタイムで変動 |
注文方法 | 基準価額で注文(1日1回) | 指値・成行注文(1日何度でも) |
定時定額の投資 | 可能 | 原則不可(一部のネット証券で可) |
分配金の自動再投資 | 可能 | 不可 |
購入価格について
投資信託は基準価額が1日1回しか決まりませんが、ETFの値段はリアルタイムで変動します。
そのためETFは、「価格が急落したから、今すぐまとまった額を投資しよう」というように、機動的な売買が可能です。
注文方法
注文方法についても、投資信託は自分の好きな金額を指定して購入できますが、ETFは商品によって購入できる金額が異なります。
例えば、投資信託の場合、「1万円分買いたい」という注文が可能です。
しかしETFの場合は、「1口あたり○円のETFを何口買う」という注文しかできないため、投資信託のように、好きな金額分だけを購入するという買い方はできません。
その代わり株式同様、指値・成行注文ができるメリットがあります。(指値・成行注文についてはこちらを参照)
定時定額の購入
投資信託では、決まった日時に定額の積立購入をする設定が可能です。
例えば、ある投資信託を、毎月1日に1万円分購入する、という具合で設定できます。
一方、ETFでは、SBI証券で一部の海外ETFの定時定額購入が可能ですが、原則として定時定額で買えません。
分配金の自動再投資
投資信託でもETFでも、保有しているだけで分配金が発生します。
投資信託については、分配金が自動的に再投資に回されます。
しかし、ETFの場合は、発生した分配金は一度自分で受け取ることになるため、再投資する場合は自分で投資し直す必要があります。
資産を雪だるま式に増やしていくには、この分配金を再び投資に回すのが望ましいです!
面倒臭がりの僕は、自動で再投資してくれる投資信託の方が良さそう…!
投資信託はETFはどう使い分ければいいの?
投資信託とETFの違いは分かったけど、どう使い分ければいいの?
改めて、ETFのそれぞれの特徴をおさらいします。
- 1日に1度だけ値段が決まる
- 売買手数料が無料のものが多い
- 少額から購入できる
- 定時定額の積立購入の設定ができる
- 分配金は自動で再投資される
- 価格はリアルタイムで常に変動している
- 投資信託より信託報酬が安い
- 定時定額の積立購入は原則できない
- 分配金の再投資は自分で行う
これを元に、どちらがどんな人におすすめなのか解説していきます!
投資信託がおすすめな人
投資信託は、以下のような人におすすめです。
- 積立購入でコツコツ投資したい人
- 少ない資金から投資したい人
- 手間をかけたくない人
投資信託は、売買手数料が無料のものが多く、定時定額での積立購入の設定ができるため、長期間の運用でコツコツ投資をしていきたい人にうってつけの商品です。
定時定額での購入は”ドルコスト平均法”と呼ばれ、定期的に購入することにより、基準価額を平準化してリスクを抑えることができます。(ドルコスト平均法の詳細についてはこちらの記事をご参考ください)
ETFとは違い、分配金を自動で再投資に回してくれるため、手間もかかりません。
ETFがおすすめな人
ETFは、以下のような人におすすめです。
- 機動的な運用をしたい人
- 低コストの運用を追求したい人
投資信託は価格が1日1回しか決まらず、約定までに時間もかかるため、想定外の値段で取引が成立してしまう可能性があります。
対してETFの場合は、リアルタイムでの取引が可能なので、機動的な取引も可能です。
また、ETFの信託報酬は、インデックスファンドよりも低く設定されていることが多いです。
そのため、投資信託よりも運用コストを低減することができます。
ETFを購入する際は、原則として売買手数料がかかってしまいます。そのため、頻繁な売買には向きません。
ただし、一部のネット証券では売買手数料が無料のETFも存在します。
初心者は投資信託とETFどちらを選ぶべき?
ここまではなんとなく理解できたけど、結局、僕みたいな投資初心者はどっちを買えばいいの?
結論、投資信託でOKです。
先にも解説した通り、投資信託は“機動性の良さ”と”運用コスト”ではETFに劣ります。
しかし初心者は、「長期運用で積立投資」を前提とするならば、機動性はそこまで必要ありません。
また、運用コストについても大抵はETFに軍配が上がりますが、投資信託の運用コストもかなり安くなっています。
比較するために具体例を挙げると、
- インデックス投資信託「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」
- ETF「バンガードS&P500ETF(VOO)」
どちらもS&P500という指数を対象とする、売買手数料が無料のファンドです。
1年間にかかる信託報酬は、①が0.0938%、②が0.03%です。(2022年3月23日時点)
つまり100万円ずつ保有したときにかかる運用コストの違いは、①の投資信託が938円、②のETFが300円と、それほど大きくありません。
なので、多少のコストに目を瞑れるのであれば、初心者は、分配金の再投資も自動でできる投資信託がおすすめです。
多少のコストよりも手間を省きたいっていう人は、投資信託が良さそうだね!
まとめ:最初はつみたてNISAがおすすめ
本記事の内容をおさらいしましょう。
投資信託 | ETF | |
取引市場 | 非上場 | 上場 |
売買手数料 | インデックスファンドは無料のものが多い | 一部ネット証券で国内ETFは無料 |
信託報酬 | 低い | 投資信託より低い |
購入場所 | 証券会社、銀行、保険会社 | 証券会社 |
購入価格 | 基準価額が1日1回決まる | リアルタイムで動く |
注文方法 | 基準価額で注文(1日1回) | 指値・成行注文(1日何度でも) |
定時定額の投資 | 可能 | 原則不可(一部ネット証券で可) |
分配金の自動再投資 | 可能 | 不可 |
投資信託とETFは、それぞれにメリットがあります。
それぞれの特徴を把握したうえで、自分に合ったポートフォリオを組んでいきましょう。
最初はつみたてNISAがおすすめ
これから投資を始めようとお考えの方は、つみたてNISAから始めてみるのがおすすめです。
つみたてNISAは、投資の運用益が非課税になる、投資優遇制度の1つです。(通常は約20%の税金がかけられます)
つみたてNISAの詳細については、以下の記事が参考になると思います!
簡単にまとめると、つみたてNISAのメリットには、以下のようなメリットがあります。
- 運用益が非課税
- 100円から始められる
- 長期間の運用によりリスクが分散できる
- 金融庁によって厳選された優良ファンドが多い
投資で得た利益には通常、約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAで得た運用益は20年間、非課税となります。
投資金額の上限が年間40万円という制限こそありますが、投資金額がそこまで大きくなければ、ぜひ利用しておきたい制度です。
証券口座はネット証券で開設するのがおすすめです。商品のラインナップ(投資信託の種類)は、証券会社によって変わるため、証券会社によっては「買おうと思ってた投資信託が買えない」なんてこともあり得ます。そのため、商品のラインナップが豊富な、楽天証券かSBI証券を選んでおけばOKです。