簿記2級の勉強を始めるところなんだけど、工業簿記と商業簿記、どっちから勉強すればいいのか教えてほしい。
こんなお悩みにお答えします!
- 本業はメーカー技術職のサラリーマン
- 簿記検定2級/3級を併願受験→両方とも合格
- その他保有資格:FP技能士2級
簿記2級では、工業簿記が新たな出題範囲として追加されるため、商業簿記と工業簿記の両方をバランスよく学習していく必要があります。
となると、商業簿記と工業簿記、どちらから勉強を始めればいいか迷っちゃいますよね。
結論、3級の内容を学習していない方は商業簿記から、3級の内容を学習済みの方は工業簿記からの勉強をおすすめします。
今回はその理由とともに、簿記2級の合格に必要なポイントをまとめていきます。
これから簿記2級にチャレンジされる方は、ぜひ参考にしてみてください^^
【簿記2級】商業簿記と工業簿記の概要、違い
商業簿記は3級でも触れているのでイメージしやすいと思いますが、2級で初登場となる工業簿記は何をやるのかイメージしにくいですよね。
両者の違いを簡単にまとめると、以下の通りです。
- 商業簿記:商品売買業を対象とした簿記
- 工業簿記:製造業(メーカー)を対象とした簿記
3級でも学習した商業簿記は、仕入先から商品を仕入れ、そのままの形で利益を乗せて売るといった商品売買業を対象としています。製造業とは何か?というと、仕入れた材料に加工を施して製品を製造し、その完成した製品を販売する業種をいいます。
違いを図で表すと、以下のようなイメージです。
商業簿記、工業簿記の大きな違いは原価の算出方法
商業簿記における原価は、”仕入”の金額そのものです。シンプルで簡単!
一方、工業簿記では…
- 製品を作るための”材料費”
- 材料加工にかかった”労務費”
- 電気代、水道代などの”経費”
これら全てをひっくるめて、原価(工業簿記では製造原価といいます)を計算する必要があるんです。工業簿記ではこの製造原価を算出して損益を計算する方法を学んでいくことになります。
正直、最初は教科書を読んでもチンプンカンプンです…笑
商業簿記と工業簿記どっちから勉強するのがおすすめか【3級を学習済みかどうかで変わる】
簿記の試験は、3級の資格を持っていない人でも2級の受験資格があるため、中には、3級をスキップしていきなり2級にチャレンジする人もいます。
筆者自身も、3級を保有していない状態で2級を受験しました!
冒頭でもお伝えした通り、どちらから勉強を始めればいいかは、3級の内容を学習済みかそうでないかによって変わります。
- 3級未学習の人:商業簿記から
- 3級経験者または学習済みの人:工業簿記から
それぞれの理由について、もう少し詳しく解説していきます。
【3級範囲を未学習の場合】商業簿記からの学習をおすすめする理由
3級を未学習の方に商業簿記をおすすめする理由は、商業簿記こそが簿記学習の基礎となるためです。
3級で学ぶ商業簿記の簡単な仕訳を理解できていないと、工業簿記は全く理解できません。
逆にいえば、3級の商業簿記が理解できていれば、工業簿記の飲み込みも格段に早くなります。
以下の記事で、3級合格に至った勉強法や使った教材をまとめているので、3級を勉強される方はぜひ参考にしてみてください。
【3級範囲を学習済みの場合】工業簿記からの学習をおすすめする理由
誤解を招く前にお伝えしますが、大前提、どちらか一方を完璧にしてからもう一方に臨むのではなく、「商業簿記と工業簿記、両方をバランスよく並行して学習する」のがベストです!
その前提を踏まえた上で、工業簿記をおすすめする理由をお伝えします。
工業簿記をおすすめする理由は、以下の2つです。
- 出題範囲が商業簿記ほど広くない
- 得点に繋がりやすい
①出題範囲が商業簿記ほど広くない
簿記2級の商業簿記は、数年前から出題範囲が変わり、元々1級の試験範囲でもあった
- 税効果会計
- 連結会計
といった高難度の分野が出題されるようになりました。
特に”連結会計”がめちゃくちゃ難しいです…
そのため一重に商業簿記といっても、出題範囲は非常に幅広く、全てを理解するのは困難です。一方、工業簿記は2級から初めて出題されるということもあり、試験範囲自体はそこまで広くありません。
教科書の厚さを見ても、工業簿記の方が断然薄いです!
比較的ボリュームの少ない工業簿記の方がとっかかりやすいですね^^
②得点に繋がりやすい
簿記2級における商業簿記と工業簿記の配点は以下となります。
- 商業簿記:60点(第1問20点、第2問20点、第3問20点)
- 工業簿記:40点(第4問28点、第5問12点)
商業簿記の配点が大きいので、工業簿記の重要性は低いように思えます。
ですが実をいうと、工業簿記は得点の稼ぎどころ。工業簿記でいかに点を稼げるかが重要になります。
工業簿記は2級から初めて出題されるということもあり、基礎的な問題が中心となっています。そのため工業簿記は、基礎さえ固めておけば、満点を取ることも十分可能です。
僕自身、基礎を固めた甲斐があり、実際の試験でも工業簿記40点をしっかり得点することができました!
商業簿記で難易度の高い問題に当たってしまったとしても、工業簿記を9割近く取れるようにしておけば、十分合格を狙えます!
- 出題範囲が商業簿記ほど広くない
- 得点に繋がりやすい
簿記2級に短期間で合格するためのポイント
ここからは簿記2級合格に向けて、ぜひ意識してもらいたいこと、筆者が必要だと感じたことをまとめていきます!
工業簿記をマスターして点数を稼ぐ
前章でもお伝えした通り、工業簿記は得点の稼ぎどころです。なので工業簿記の内容は、ほとんどマスターする気持ちで勉強を進めていきましょう。
工業簿記で高得点を取れると、精神的にもかなり余裕ができます。
満点までとはいかなくても、8〜9割はコンスタントに得点できるようになるまで頑張りましょう!
商業簿記の難しい分野は諦めることも視野に入れる
商業簿記で出題される”連結会計”と呼ばれる分野は範囲も広いうえ、完全に理解するまでにかなりの時間を要します。
それならいっそ、”連結会計”を丸々捨てることも視野に入れておきましょう。余力ができたときに、連結会計の基本的な部分だけを抑える程度でも問題ないと思います。
僕も勉強を始めた当初、”連結会計”は完全に捨てており、試験1週間前になって少し余力があったので、概要だけざっと目を通して、簡単なところだけ答えられる状態にしておきました。
一か八かに聞こえますが、必ずしも試験で連結会計が出題されるわけではありませんし、もし出たとしても100点中の20点を失うだけ。合格点は70点なので、丸々捨てても合格の可能性は残ります。
時間に余裕がない場合は、”難しい分野を諦める潔さ”も大切です。
講座を利用する
簿記3級までは独学でなんとかなる人も多いものの、2級となると難易度が格段に上がります。
2級の独学も無理ではありませんが、効率よく学習を進めていきたい方は、有料講座を受けることも視野に入れておきましょう。
どうしても独学でチャレンジしてみたい方は、以下の記事で、筆者が独学で合格に至るまでに実践した勉強方法や使った教材をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
【まとめ】どちらもバランスよく並行して勉強するのがベスト
この記事の内容をおさらいしますね。
- 商業簿記と工業簿記をバランスよく並行して勉強するのがベスト
- 始める順番はどっちでもOK(強いていうなら工業簿記からがおすすめ)
- 工業簿記からの勉強がおすすめな理由は”出題範囲が限られており得点を稼ぎやすいから”
- 短期間で合格するためには①工業簿記をマスターし、②商業簿記で難しい分野を捨てることも視野に入れる
2級で初めて触れる工業簿記も、最初はテキストを読んでも全然理解できないと思います。が、問題を解いていくうちに次第にできるようになってくるので、諦めず根気よく頑張っていきましょう。
僕も最初に工業簿記の教科書チンプンカンプンすぎて挫折しかけましたが、粘り強く問題を解き続けたら理解できるようになりました!
簿記2級は3級よりも難易度が上がりますが、そのぶん市場価値の高い資格となります。履歴書にも書けるレベルです。
コツコツ勉強を進めていけば、独学でも十分合格は可能です。
今回は以上です。自身の将来のために、一緒にコツコツ勉強していきましょう^^
最悪、商業簿記で大問丸々1つ落としたとしても、工業簿記で満点近く得点できれば、合格のチャンスが残ります。